STORY 02

石川県 ProActive開発プロジェクト

大手メーカーの貿易部門に導入せよ

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PROLOGUE

ProActive(プロアクティブ)は、SCSKグループが開発した国産初のERPパッケージである。ERPとは、Enterprise(企業)Resource(資源)Planning(計画)の略。企業の経営資源を一元的に管理し、経営の効率化を図る手法のことをいう。ProActiveはERPをサポートするシステムとして誕生。約30年間で6600社、300グループ以上に導入され、会計、人事給与、経費・勤怠管理といった、企業活動の基幹業務を支えてきた。
そんなSCSKグループの代表的製品の保守・開発を担っているのが、私たちSCSKニアショアシステムズ。そして今も、ProActiveは進化を続けている。全国各地の拠点で活躍するエンジニアたちの手で―。

#01上流工程への、挑戦。

2023年1月。石川開発センターで、新たなプロジェクトが始動した。それはProActiveを、ある大手メーカーの貿易部門に導入する、というプロジェクトだった。
当時、石川開発センターは開設4年目。社員も着々と増え、事業領域の拡大が課題となっていた。
「ProActiveへの参画は、今後の新たな柱になりえる」—そう考えた石川拠点のトップが自ら手を挙げ、新プロジェクトへの挑戦を決定。だがそれは、最初から困難が予想されるプロジェクトでもあった。

ProActiveは、いわゆるパッケージソフトである。100%そのままの形で企業に導入・稼働できるケースは少ない。ユーザーであるお客様企業とやりとりをしながら、その企業に合う形にカスタムメイドしていくのが通例だ。業界で「導入」と呼ばれるその業務は、「上流工程」に位置付けられている。
ところが、石川はもちろん、当時のSCSKニアショアシステムズ自体にも、上流工程の経験はほとんどなかった。そのうえ今回の導入対象となる「貿易部門」も、社内では未知の領域だったのである。

#02お客様を、学べ。

そんなプロジェクトを託されたのは、3名のエンジニア。リーダーは、東京のSCSK時代に上流工程の経験を持つ渡邊直樹(取材当時37)だった。
「これを成功させれば、石川はもちろん、ニアショアの付加価値も上がります」
とリーダーの渡邊は当初の思いを振り返る。
「ただ、上流と下流では、仕事の進め方が違います。下流はインプットがしっかりしていて、設計書もちゃんとあり、やることがある意味、明確です。対して上流は、仕事の進め方から自分たちで検討しないといけない。そのうえ今回の案件は、貿易の知識も必要になります。簡単な案件でないことは、最初からわかっていました」

なによりも、まずはProActiveについて石川のメンバーが熟知する必要があった。最初の1か月間は、実際にProActiveを動かしながら、全員で徹底的に機能を調べることからスタートした。
続く4か月間は、インターフェースの技術を検討。ユーザー企業がもともと使っているシステムと、ProActiveの間で、データをどのようにやりとりするのか。と同時に、ユーザーが実際に行っている業務に従ってProActiveを動かしてみて、そのまま活かせる部分と、活かせない部分を洗い出した。そして見えてきたギャップを、どう解決していくのか。SCSKやユーザー企業とやりとりをしながら、開発の方向性を慎重に探っていった。

当時のことを、メンバーの松田真麻(取材当時35歳)はこう振り返る。
「当初はかなり苦戦しました。私にとっては、難しいことしか、なかったですね(苦笑)。毎日、山のように質問していました」
お客様が喜ぶシステムに仕上げるためには、お客様のことも知らねばならない。
HPや膨大な資料を見て、お客様の製品や業務内容を勉強。また、それまでどんなシステムを使ってきて、どこに不便さを感じていたのか。どうなれば便利なのかを、お客様に直接ヒアリングすることもあった。会話の中には、独自の社内用語や貿易の専門用語も飛び交ったが、松田たちは懸命に食らいついた。

#03いろんなタイプがいるから、
チームはうまくいく。

仲間は、東京にもいた。SCSKの3名のエンジニアだ。毎日、夕方には、Teamsを使ってオンラインミーティングを開いた。わからないこと、わかったこと、現在の進捗状況、翌日の計画などを共有。「でも、最初は正直、少し遠慮して、質問もしにくかった」と松田は正直に振り返る。
お互いの距離を一気に縮めたのは、東京のSCSKメンバーが金沢に来てくれたことだった。昼は対面でミーティングをし、夜は、松田が探してきたお店で懇親会。金沢のおいしい魚に感動してくれ、お互いのキャリアや家族の話で盛り上がった。明るいキャラクターの松田が、ムードメーカーになった。

実は松田は、ちょっと変わった経歴の持ち主でもある。出身は大阪。夫の転職を機に、石川に来た。大阪では、学習塾の塾長をしていたという。生徒や保護者、職員に好かれる塾長だった。「私は誰とでも仲良くなりたいタイプ。今の仕事でも、まずはお客様のことを好きになって、お客様の役に立ちたいと思っているんです」

そう話す松田を、リーダーの渡邊をこう評価する。
「松田さんは、コミュニケーション能力が秀でています。コミュニケーションのとり方がうまく、わからないことがあれば、気兼ねなく質問してくれる。そういう能力が上流工程にはとても重要なんです。一方、もう1人のメンバーの杉本さんは寡黙なタイプ。でもすごく考えながらコツコツとやれる。いろんなタイプがいるから、チームはうまくいくんです」
プロジェクトが進むにつれ、メンバーのタイプやスキルを見極めた渡邊は、大まかな役割分担も行った。松田は製品品目や顧客を管理するマスター系、杉本は出荷業務を担当。自分はボリューム的に最も大変な受注業務を担った。

そんなリーダーのことを、メンバーはどう見ていたのか。松田はこう話す。
「初めて会ったときは、とっつきにくそうと思ったんですよ(笑)。東京から来ているだけあって、見た目がシュッとした雰囲気なので(笑)。でも話してみたら全然違ってました。今までいっしょに仕事をしてきたなかで、いちばんやさしいリーダー。理不尽なことを言わないし、質問したらちゃんと答えてくれます。あと、マネージメントもうまいと思う。がんばり屋の杉本さんに対しては仕事をためこまないよう気を配りつつ、私には比較的、自由にやらせてくれる。それぞれの性格をよくみているなと感心します」
キャリアもタイプも違う3人の絆は、少しずつ、だが着実に、強くなっていった。

#04成長していく実感とともに。

その年の1月にキックオフしたプロジェクトは、要件定義、設計書作成、プログラミング、テスト、修正…と続く、長いスケジュールをたどりながら、今も進んでいる(取材時現在)。
「導入・稼働の予定は、来年の5月。だから来年のゴールデンウイークは休めそうにないですね」と苦笑いするリーダーの渡邊だが、不思議とその表情は明るい。
渡邊は神奈川出身。東京のSCSK本社で働いていたが、石川開発センターの立ち上げと同時に、自ら手を挙げて出向してきた。「実は6年ほど前に、広島に住んでいたことがあって、地方もいいなと思っていたんですよ。初めて暮らす石川で、新しいチャレンジをしてみたかったんです」

そう話す渡邊にとって、このプロジェクトはまさに、望んでいたチャンスでもあった。
「確かに大変なことも多いですけど、すごく勉強になっています。新しい本もたくさん買いました。貿易のことも全然知らなかったし、自分の知識がどんどん増えていく感覚があるんです」
その言葉に、松田も大きくうなずく。
「今までの仕事とはちょっと違いますよね。私はもともと下流工程が大好きで、コーディングをひたすらやっていたかった人間なんです。でも今回、思いがけず上流工程に携わることになって、新しい世界を知るきっかけになりました。どんどん成長できそう」
初めて尽くしだったこのプロジェクトがゴールを迎えたとき、自分はどう成長できているのか。メンバー全員が楽しみにしながら、今日も、さまざまなハードルに挑んでいる。

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